発酵とは?腐敗との関係から仕組みや語源までを解説! | フードコスメORYZAE

発酵とは?腐敗との関係から仕組みや語源までを解説!

「そもそも発酵とは?」
「腐敗と発酵ってどう違うの?」
「発酵ってどんな仕組みなの?」

近年、甘酒や塩麹ブームなども起こり、発酵食品が注目されています。

しかしながら「発酵とは?」と聞くとうまく説明できなかったり、よくわからなかったりします。

私も発酵食品を製造する活動を始めるようになってから学んだというのが正直なところです。

でもわかってしまうと全然難しいことはなく、頭の中での整理も進むと思います。

今回は、そんな「発酵とは?」について仕組みや歴史、語源などまでお伝えしていきます。

最後まで読んで発酵についての知識を蓄えてみてください!

発酵とは?

はじめに、そもそも発酵とは何かについてお伝えします。

  1. 微生物の作用によって有機物が分解され、別の物質に変化すること。
  2. 酸素が存在しない嫌気的条件で、糖などを分解してエネルギーを獲得する過程のこと。

発酵には、2つの意味がありますが、お互いに関連しています。

例えば、酸素が存在しないところで、酵母によって糖がアルコールに変換されるとき、微生物の作用でありながらもその過程でエネルギーも生み出すため、両方を満たしているといえます。

MEMO
有機物とは炭素(C)を含む物質のことで、食品ではお米やじゃがいもなどのデンプン、その他には木やプラスチック、エタノールなどがあります。

発酵と腐敗の違いは?

発酵と腐敗の違いは、

発酵:微生物が人間に有益な物質をつくりだすこと。
腐敗:微生物が人間に有害な物質をつくりだすこと。

です。

実は発酵と腐敗を分けているのは科学的なものではなく、私たちの文化なんです。

詳しくはこちらの記事をご覧ください!

1分でわかる!発酵と腐敗の違いとは?

発酵は三代生命活動の一つ!

発酵:酸素のないところ(嫌気的環境)でのエネルギーを獲得する
呼吸:酸素のあるところ(好気的環境)でのエネルギーを取り出す
光合成:光エネルギーによって二酸化炭素から糖などの有機物を合成する

【番外編】烏龍茶や紅茶も発酵するっていうけど、あれは酸化だった!?

発酵とは2つの意味を持つと説明しましたが、当てはまらない現象に関して、「発酵」と呼ぶことがあります。

それが、茶葉から烏龍茶や紅茶を作るときの発酵です。

これらは茶葉自信が持つ酵素によっての働きなため、正しくは「酸化」ですが、「発酵」と呼んでいます。

ただし碁石茶や黒茶などの後発酵茶を作るときの発酵はカビやバクテリアによって行うため、微生物の作用によって有機物が分解され、別の物質に変化する正しい定義の発酵です。

発酵の仕組みとは?

次に発酵の仕組みについて、説明します。

◯◯発酵で有名なのは、乳酸発酵とアルコール発酵です。

発酵は酸素が存在しない嫌気性で行われます。

嫌気的な代謝反応(乳酸発酵、アルコール発酵)はエネルギー効率が悪いため、ゆっくりと進行します。

その結果さまざまな有機物(乳酸やアルコール)が残留し、蓄積します。

乳酸発酵

乳酸発酵は、乳酸菌によって、糖から乳酸を生成する発酵です。

漬物やヨーグルトは乳酸発酵によって作られる発酵食品です。

また乳酸発酵は、私たち人間にも起こります。

私たちは急激な運動による疲労を「筋肉に乳酸が溜まる」と表現することがあります。

「筋肉に乳酸が溜まる」というのは、呼吸による酸素の供給が間に合わない状況で、少しでもエネルギーを得るために筋肉内で乳酸発酵が行われている状態です。

アルコール発酵

アルコール発酵は、酵母によって糖からアルコールと二酸化炭素を生成する発酵です。

アルコール発酵で作られるものは、日本酒やビール、ワインなどがあります。

日本酒やビール、ワインはどれもアルコール発酵ですが、さらに詳しく単発酵・単行複発酵、並行複発酵の3種類に分けることができます。

その他の◯◯発酵

上記では、酸素が存在しない嫌気的条件で、糖などを分解してエネルギーを獲得する発酵過程についてお伝えしました。

しかし世の中で一般的に発酵と呼ばれている現象の中で、嫌気性の発酵はごくわずかです。

多くの「発酵」が「微生物の作用によって有機物が分解され、別の物質に変化すること。」の意味で使われていることも多く、発酵過程で酸素を必要とする(好気性)微生物が利用されるものも多くあります。

酸素を用いる好気性の反応はエネルギー効率が高いため、菌の生育が早く、反応熱によってその場の温度が上がることも多くあります。

酸素の用いる発酵菌には、納豆作るのに使う納豆菌や、味噌や甘酒などを作るのに使う麹菌などがあります。

◯◯発酵と呼ばれるものを2つ紹介します。

酢酸発酵

酢酸発酵が使われているのは食酢、ココナッツミルクを発酵させたナタデココ、カスピ海ヨーグルトなどがあります。

酢酸菌がお酒に含まれているアルコール(正式にはエタノール)から酢酸を生成します。

酸素を使う好気性の発酵ではあるが、工業的には酢酸発酵と呼ばれています。

クエン酸発酵

クエン酸は、柑橘類に含まれており、疲労回復や運動能力の向上効果があるとされ、清涼飲料水などに添加されています。

クエン酸発酵とは、安価な糖蜜(糖分を含んだ液体)を原料に、アスペルギルス・ニガーと呼ばれる麹菌の一種である黒カビを使用して、クエン酸を生成する過程のことをいいます。

石油化学工業に匹敵するほどの生産効率が得られることから、工業的なクエン酸の生成方法として確立されています。

クエン酸発酵のように、工業的に微生物を用いて有用な化学物質を生成する過程もまた発酵であり、アミノ酸や抗生物質などの様々な物質が発酵によって生成されています。

発酵の歴史について

次に発酵の歴史についてお伝えします。

発酵食品の歴史ではなく、発酵の歴史です。

一番純粋な意味での発酵は、酸素が存在しない嫌気的条件で、糖などを分解してエネルギーを獲得する過程のことです。

実は呼吸よりも前から発酵は行われていました。

この地球に酸素が出現したのは、シアノバクテリアと呼ばれるラン藻が発生し、光合成を始めた今から30億年前と言われています。

先に三代生命活動で呼吸は酸素のあるところ(好気的環境)でのエネルギーを取り出す活動であるとお伝えしました。

しかし30億年前以前の酸素が存在しなかった時代には、呼吸によるエネルギー獲得は行われておらず、エネルギーを獲得する方法として、酸素を使わずに有機物を分解して「発酵」が行われていました。

発酵の語源は、「湧く」だった。

発酵は英語で、「fermentation」といいます。

これはラテン語で「湧く」「沸き立つ」を意味する「fervere」が語源で、アルコール発酵の際に生じてくる炭酸ガス(二酸化炭素)が泡になって浮いてくる現象をみて、そのように名付けられたと考えられています。

おわりに

いかがだったでしょうか?

発酵と一言で言っても、酸素を使わないでの発酵なのか、酸素を使っての発酵なのかと違いがあるんですね。

歴史的にみたときに、呼吸よりも前から発酵は行われていたと知り、呼吸を必要とする人間をはじめとした動植物よりもはるかに昔から微生物は存在していたのだなと改めて偉大さを感じました。

発酵は知れば知るほど深くて面白い分野ですね。

ぜひ発酵を知りながら発酵食品を取り入れて、毎日の食生活から健康ライフを目指しましょう!

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